
ヒアルロン酸は、人の体のなかに多く存在している保水成分です。
主な役目としては、細胞同士を結びつけたり、関節同士が直接触れ合わないように潤滑油の働きをしてくれています。
健康な関節の中に含まれているヒアルロン酸は、無色透明の保水効果バツグンの液体で、非常に粘り気があります。
また、関節内の動きを滑らかにし、高い弾力性を維持してくれる働きもあります。
そんないいこと尽くしのヒアルロン酸ですが、注意点があります。
ヒアルロン酸は年齢を重ねると、徐々に粘り気が失われ、サラサラの状態になってしまうということです。
サラサラの状態になると、関節のしなやかな動きが失われ、関節の弾力性も失われます。
分かりやすくいうと、今までのようにスムーズな関節の曲げ伸ばしができなくなるということです。
膝の動きがわるい人はヒアルロン酸が足りない?
膝の関節がスムーズに動くには、ヒアルロン酸は無くてはならないものです。
そして、ヒアルロン酸には、関節の動きを良くする以外に大きな役目があります。
それは、ヒアルロン酸は、膝の軟骨に酸素を供給するうえで必要不可欠だということです。
ヒアルロン酸が不足していると、充分な酸素と栄養が膝の軟骨に行き届かくなって、栄養失調状態になってしまいます。
つまり、ヒアルロン酸が足りなくなると、膝関節に大きなダメージが与えてしまうということです。
ヒアルロン酸注射をするタイミングって、どんなとき?
変形性膝関節症などの膝痛で苦しんでいる方が、ヒアルロン酸を関節の中に注射することがあります。
この注射を専門用語で、関節内注射というのですが、関節内注射を実施する適切なタイミングは幾つかあります。
膝関節の関節内注射が対象となる人
●膝の動きに違和感を感じていて、日常生活を思うように送れていない人
●変形性膝関節症や半月板損傷などで、膝に痛みがある場合
●膝に水がたまっていて、膝の動きがわるくなっている人
変形性膝関節症や半月板損傷などになっている人は、膝のなかの滑膜が炎症を起こし、滑液という関節液がたくさん分泌されます。
そうなってしまうと、膝のなかにあるヒアルロン酸の濃度が低くなり、関節液の粘り気がなくなってしまいます。
そのため、膝本来のなめらかさや弾力性が失われ、ますます膝の痛みが増幅して動かしにくくなります。
とくに変形性膝関節症の重度の人の場合、常に滑膜が炎症をおこしている状態なので、滑液が大量に分泌され、関節液がさらに薄まってしまいます。
膝に水がたまった状態でヒアルロン酸注射を行うと、薄まってしまって効果が現れにくいので、いったん膝の水を抜いてから、ふたたび関節のなかにヒアルロン酸製剤を注射することが主流になっています。
ヒアルロン酸注射の頻度について
実際に、ヒアルロン酸を関節内に注射することによって、大きな効果を感じている人は数多くいます。
ヒアルロン酸注射を実施したときの具体的な効果
・関節液の濃度が正常になる
・酸素や栄養が軟骨に行き届くようになる
・関節液の働きが正常化され、痛みや炎症が改善する
・膝を動かしたときに出ていた痛みが改善し、なめらかになる
このようにヒアルロン酸注射は、症状によって個人差がありますが、膝に腫れや痛みを感じていた方の70%近くが、ヒアルロン酸の注射によって改善していることが明らかになっています。
注射をする頻度ですが、だいたい週に1回を目安に関節内にヒアルロン酸ナトリウムを注入します。
変形性膝関節症の場合は、滑膜の炎症が進んでいるため、週に1回の関節内注射を5回くらいに渡って何度か繰り返します。
ヒアルロン酸製剤の注射で気をつけておくこと
ヒアルロン酸製剤を膝関節に注入するうえで、とくに注意しておいたほうが良い事があります。
それは、注射をした患部が細菌感染しないように、清潔な状態にしておくということです。
注射後は、どうしても膝の中につっぱり感が出てきやすいので膝を揉んだりしてしまいがちです。
ですが、不潔な手で触ったり揉んだりすると、患部に細菌が入って腫れて炎症をおこす可能性が高くなります。
もし、注射後に患部が腫れたり、膝に大きな痛みがでてきた場合は、すぐに医師に相談するようにしましょう。
注射をした日は、入浴は細菌感染の大きな原因になるので、入浴は避けてください。
できればシャワーの方も浴びないほうがいいでしょう。
他に注意しておいたほうが良い点としては、ヒアルロン酸ナトリウムにたいしてアレルギー反応を起こす人が極稀にいるので、薬剤アレルギーが心配な人は、前もって医師に相談しておくと安心です。